• Kenichi makino

回顧録  memoir

忘れ去られた「時」の尋ね物達

(不思議な偶然の縁)





仕事柄 亡くなられた方の遺品の整理もいたします、

4年ほど前 ある男性(63歳)の方から 不用品の買取依頼を電話で受け、

翌日 ご自宅のアパ-トに伺いました、

一人暮らしの男ならではの殺風景な部屋・・

破れた座布団を2枚出して、 少し見た目の良い方を私に出してくれました、

オヤジさんは「もうじき引っ越の予定を考えてるもんで・・まぁ ほとんどいらないんだ、買い取れるのがあったら頼むよ」

私は二間の室内を見て回り オヤジさんの趣味のカメラや音響機器、

そして昨年まで仕事で使用していた電動工具を見つけました。

体の具合が悪く わずかな年金では生活が困窮・・

役所に生活相談をすることを考えているとのことでした。

(そうこうしているうちに話が1時間近くなっていました)

『若い大学時代の話』『仕事の電気工事での苦労話』『離婚をして子供には20年は会っていないなどの話』など・・オヤジさんと私には おかしな親近感が出来上がっていました。

(リサイクル品の引き取り作業を終え 帰り際に)

オヤジさんは私に「また 近日どこかに引っ越したら頼むかもしれんからそんときはまた頼むわ」 「体の具合がかなり良くないって医者が言ってたから もしかしたら 遺品整理になっちまうかな」私は そんな冗談は言わないでくださいよって オヤジさんのお腹をさすって笑って返しました。

(それから10ケ月ほど過ぎた5月)

某不動産屋さんから「遺品の整理」の見積もり依頼を受けました、

孤独死で20日ほど見つからないままでした・・

アパ-トの玄関前に立ち 大家さんにドアの鍵を開けてもらい中に、

(いつもと同じ孤独死の現場の雰囲気)

手ぬぐいを鼻に当て室内に入る、 寝ていたと思われる布団の前に立ち両手を合わせて合掌。

(室内の残された遺品(引き取り手は誰もいない)の状況を確認)

すると 電話台の前の襖の壁に貼ってある色々な連絡先のメモ用紙の中に、私が手渡した名刺が画びょうで刺して貼り付けてありました。

私は(えぇぇ 誰? 作業ノ-トを再度確認をして亡くなられた方の名前を見て)

あの オヤジさんじゃん !

部屋の隅には5ケ月前に オヤジさんが「この戦車のプラモデルは愛着があって、ちよっと手放せないから 勘弁してくれ~」と言って残していた戦車が棚の上に飾ってあった。

まったく偶然とはいえ (そうか 私に片付けを頼みたかったんだなぁ)

そのように思いました。

こうしたお客様のご自宅に呼ばれて行う作業には今回のような不思議としか思えないような出来事が多々あります。

また次回の頁で話をしたいとおもいます

『オヤジさんご苦労さまでした』











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