• Kenichi makino

回顧録 memoir / 若くして逝った君へ

忘れ去られた「時」の尋ね物達(Requiem レクイエム 鎮魂歌)




二年前の9月中頃 中年の男性の方から 電話があった、

男性は「知り合いの方から紹介をしてもらい、電話をしたのですが・・アパ-トの部屋の片づけの作業料金を教えてもらえますか」と、

(私は おおまかな作業料金をお知らせしました)

それからしばらくして 10月の初め 二度目の電話がありました、

男性は「自分は神奈川に住んでいて 明後日 明明後日は仕事が休みなのでそちらに行くことが可能です、ですので その部屋で待ち合わせのできる時間の都合を合わせてもらえると助かります」と、(私は 日時を合わせ詳細をお伝えして 電話を切った)

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数日後 教えてもらった住所をもとに そのアパ-トに向かい到着をした、

男性の方は既に先に到着をされ 室内の窓を開けるなどの作業をされていた、

私は窓から顔をのぞかせる男の方に会釈をして部屋の玄関口に向かって立った、

部屋の奥にはその男性の奥さんらしい方もおられた。

室内に入ると 若い方が住まわれていた部屋だとすぐにわかった、

(私は 詳細な状況を尋ねた・・)

男性の奥さんが「実は息子が亡くなりまして」

(私はご病気ですかと尋ねた)

少し口ごもり間があいた

「言いにくいのですが 自殺をしてしまい、私たち夫婦も県外なので室内の片付け作業にそうそう来れないので 今回 お願いしたいのです」

(わたしは亡くなられた息子さんの歳を尋ねると)

旦那さんは「34なんです・・なんだか ほんと わからないんです 死ぬ理由が・・」

奥さんは「警察でも色々 調べてもらったのですが まったく わからなくて・・」

「息子は自殺する前日まで ちゃんと仕事に行って 朝 夜勤開けでこの部屋に戻り その足でオ-トバイに乗って海岸に行ったらしいんです」

「うちの子が発見されたのは 翌日の昼頃 散歩に来ていた人がテトラポットのところにぐったりしていたのを見つけてくださったんです・・」

(私は あまりにもの無念さがご夫婦から伝わって 返答に困ってしまった)

(私は 近日 片付け作業に入りますと伝え 部屋の鍵を預かり 数日後 部屋の確認をしていただくための日時の約束をした)

ご夫婦は帰られる時 最後に、

「瀧雄(仮名)は こんなに 多くの フィギュアやバイクや車の部品ばかり購入して、 まったく同じような物ばかり・・しかたない子」

「仕事の作業着や服も洗濯機の上につくねて だらしない!」

「食べた物もこのままにして・・ 缶ジュ-スも飲みかけで 小さい頃と同じだよ 成長しない子だ・・」

そのご夫婦の会話をじっと聞いていると 彼はまだこの部屋にいまも存在をしていて そのご夫婦の目の前におり 彼は お父さん お母さんから「いま」実際に叱られているような錯覚さえ覚えた。

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ご夫婦は部屋を出られ 帰られた・・

(私は 一人になり部屋で室内の遺品の確認を行った)

彼がフィギュアや車のプラモを組み立てていたとおもわれる机の前に立ち、

(机の引き出しの中を確認)

三段の引き出しの中段から 彼と思われる写真が数十枚出てきた、

国産のスポ-ツカ-を愛車にしていたらしい、車の前に立ち仲間と笑顔で撮った写真、

とても自殺をされるような感じの若者ではなかった。

 そのいく数枚の写真の中に自動車教習所の学生証とそこに貼られた証明写真があった、

(わたしは じっと写真を見つめた)

(彼の顔に記憶がある)

私は 週になんどか仕事の帰り際に立ち寄るスーパ-がある、

その店内で幾度か見たことのある若者だった、

なぜ覚えていたかというと 私の知人の息子さんに容姿や歩き方が似ていて、

(同じような感じの人はどこかにいるものなんだなぁ)と 思っていた。

彼とは話もしたこともなく ただ 店内で見かけるだけ、

わたしはその度に彼を見て 知人の息子さんを思い出した。

(そうか 彼だったのか・・なんで どうして 自殺などしたんだろう・・)

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(数日後、この部屋の作業を終えたことを ご夫婦に電話で伝え 後日 立ち合いの作業終了確認をお願いをした)

当日は お父さんだけが来られた、

お父さんは「こんなに綺麗に片づけてもらい 助かりました」と、

(私は室内にあった スチール製の棚を最後にトラックの荷台に積み込み、作業を完了をした)

お父さんは 一つの自動車部品らしい金属を見つけて指で指し「あの この金属の『輪っか』のような物もこの辺に積んでいいですか?」と 尋ねられた、

(わたしは いいですよ そのあたりに投げておいてください)と返答をした、

お父さんは その 金属の『輪っか』の部品を トラックの荷台に放り投げた、

すると その『輪っか』が スチール棚の柱の先端の箇所に まるで 輪投げの輪が支柱に入り込むかのように入っていった。

わたしは(えぇぇ 凄いじゃないですか その確率!)と言いました、

お父さんは初めてお会いした日から いままで ずっと笑い顔 ひとつしなかったのに・・ その時 私に初めて笑顔を見せた。

でもその笑い顔は 私の驚いた言葉に反応をしたのではなく、

どこか 空を遠く見ながら 亡くなった息子さんの『ささやき』に答えているようにも見えた。

室内の机の中にあった新品のボールペンと ファインダ-は わたしがいまも仕事で使っています・・

『もう過ぎたことなのだが・・あの8月のあの日、君がこの海岸の前に立ち 逝くことをためらい この松林の通り道を引き返し戻っていれば、 また あのスーパ-の店内で君を見かけて いつものように知人の息子さんを思い出すことだったのだろう』










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